浮島彫刻スタジオ 片桐宏典 + ケイト・トムソン

「環境性彫刻」の提案 

芸術家は手探りで「形」と「心」を捜し求める。   人と社会は時代と共に変貌する。そのなかで、芸術は時代と反映する現代的な表現を模索する。 都市という生活の場をいかに住みやすいものにしていくかは、現代社会に生きている我々にとって、常に第一義に問題とされるところである。自然との共存共生とは、見方を変えれば、都市に住む人々の精神衛生の問題であるかもしれない。なぜなら都市部以外での大型の開発行為、リゾート開発、交通、建設整備事業などほとんど全部が全部といって良いほど、都市部からの人の流れを前提としている。都市系空間において、各種活動の便宜性および効率性はすべてに優先されてい るかのようだ。 しかし、「現代」の発端を考えるとすれば、「環境」という言葉が「進歩」ではなく「調和」を意味するようになった頃であろうか。 まちづくりやむらおこしなどの一環として、公共空間に彫刻設置するモニュメント事業やシンポジウムが数多く行われている。街路、公園、コミュニティー・ホール、学校等の公共建築、こういった人々の行き交う、集まる場所に、より多くの彫刻や絵画を置くようになって来たことは実に歓迎すべき事実である。それによって、素晴らしい芸術作品と接する機会が日常的に多くなればなるほど、我々の生活は精神的に確実に高められていくことだろう。公共空間の芸術性または芸術作品の公共性は、現代社会の環境づくりにおいて非常に大切な課題である。 公共の場、特に屋外に置かれることの多い公共彫刻にとって、作品とその置かれる環境の整合性はいかなる場合でも重要な条件となる。社会的、空間的調和とともに、ともすれば画一的になりがちな現代的空間に芸術家の柔軟で豊かな感性と鋭い芸術的洞察力とを持ち込むにはどうすればよいか。 たとえば、環境空間それ自体がひとつの作品と呼べるような彫刻の在り方を考えたらどうだろうか。ランドスケープ的なスケールの広がりをもって、空間全体に響きわたる芸術的感性の巨大な空間の真っ只中に見る者を引き込むのだ。我々はそれを「環境性彫刻」と呼ぼう。我々の周囲の空間に芸術的感性を呼び戻すために、空間芸術としての彫刻本来の力が発揮されることだろう 。



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